しばらく前のことだが、姪(17歳)に買い物に付き合って欲しいと懇願され、若者に人気のファッションブランド WEGO に行ってみた。
姪に何を買うのかと聞いて見たところ、「サロペットが欲しい。」「おっちゃん、センス良いから、選んでほしいんよ。」と返事が返ってきた。
おじさんとしては、女子高校生に「センスが良い」なんて言われたら、買い物に付き合ってやることを拒否する理由は無い。(こんなところが、馬鹿だなぁ、と思うのですが、全くもって馬鹿な限りである。)
オーバーオールって言わないの?
店内を見ていると、女子中高生ばかりである、たまに見かける大人は、ショップ店員か、娘と一緒に買い物にきた母親らしい女性ばかり、、、流石に女性がわんさかいるケーキ屋に平然と入り、可愛いケーキを買う勇気のある私でも、ちょっと気が引ける。
姪っ子が、私を呼びに来た
姪:「おっちゃん、サロペットの色、どれが良い?」
私:「なんや、サロペットって、オーバーオールやん!」
姪:「え?なにそれ? これ、サロペットやろ?」
私:「やから、それ、オーバーオールやろ。」
姪:「オーバーオール? はじめて聞いた。 サロペットやもん。」
私:「ほら、笑福亭鶴瓶が、昔、もじゃもじゃアフロの頃、着とったヤツやん。」
姪:「そんなん知らん。 で、おっちゃんとしては、どれ? 」
オーバーオールが通じなかったことに衝撃を受たものの、姪がもってきたのは、白のジーンズ、濃い目のブルージーンズ、薄い目のブルージーンズ、の3種類、無難に着るなら、夏場であることを考え、白か薄い目のブルージーンズにした方が良いとアドバイスし、姪は、薄い目のブルージーンズをチョイスした。
姪が、残った色のサロペットを返却し戻ってきた時、「白もやっぱりいいなぁ。」と呟くので、8月生まれの姪の誕生日プレゼントに白も買ってやることにした。(これが、姪が私を呼んだ狙いなのかも?と考えたが、喜ぶなら良しとすることにした。)
帰り道、サロペットの話になった。
幼い頃、といっても、小学生の5年生くらいだったと思うが、オーバーオールが流行し、私も好んで着ていた。
そんな話を姪にすると、「おっちゃん、小さい時から、ファッションに目覚めてたんや、やからセンスいいねんな~。」なんて、姪が返してくる。
完全に姪に支配されている感が否めない。
で、姪の話では、「サロペット」という言葉は、雑誌にもあり、友達なんかとの会話も全て「サロペット」とのこと。
「オーバーオール」って初めて聞いたらしい。
ましてや2000年生まれの姪に、1970年代後半から80年代の笑福亭鶴瓶の話なんて通じるはずもない。
言葉を知らないと、恥ずかしい?
帰宅後、
私:「サロペットって、知っとる?」
妻:「ああ、オーバーオールのことやろ。」
私:「今時は、オーバーオールがサロペットになったんやな~」
妻:「あんた、恥ずかしいわ。サロペットはフランス語で、オーバーオールが英語なだけで、同じやで!」
嫁はフランスに留学経験もあり、フランス語はかなり堪能な方だ、もちろんそこそこ英語もできる。
私:「まじか~、今の時代は、ズボンがパンツに変わった様に、変わったと思った~」
妻:「あんた、ホンマに恥ずかしいわ、それこそ、ズボンがフランス語で、パンツが英語やで!」
私:「えっ、ええ~」
としか反応が出来なかった。
妻から、「今時の若い子らの言葉にいちいち反応せんでもいいの。
本質は同じやで、何も変わらんし、今は、ズボンやパンツもボトムスとか言うし、ファッションの流行にイメージ戦略もあるから、言い回しを変えてるだけでしょ」と追加された。
確かにそうである。 同じでは無いかも知れないが、ダイビングをする人は、「水中メガネ」を「マスク」と言い、ゲーマーは「ズル(すること)」を「チート」と言う、本質は何も変わらない。
私たちは、普段、いろんな単語、言い回しで、相手とコミュニケーションを取るのだが、言葉とりわけ単語の本質は変わらないわけである。
簡単なことを難しく言ったり、専門用語を使えば、それらしく聞こえたりするのであるが、本質は単純な事って良くある気がする。
言葉を使う一人の人間として、本質を見失わないようにしないといけないと改めて思った。