和菓子にはいろんな種類のものがありますよね。

花の形や鳥の形をモチーフにしているものもあり、一種の芸術であり日本の心でもあると筆者は感じております。

同じものでも牡丹餅と御萩のように季節によって呼び方を変えるものもあるというのはとても風流だと思いませんか?

そうした日本の心が良くあらわれている和菓子のことを今回は少しだけ皆さんに知っていただきたいと思い、記事にしました。

今回は和菓子と季節の関係の話になります。

この記事を読んで今の季節に相応しい和菓子でお茶会してみませんか?

 

和菓子と季節の関係

和菓子が季節を表すと言いましたが、それには2種類有ります。

1つはその季節にしか出回らない和菓子です。

そしてもう1つがその季節を表現した和菓子です。

 

前者は桜餅、柏餅、うぐいす餅、水ようかんなどが当てはまります。

その季節が過ぎれば潔く次の和菓子に席を譲る潔い和菓子ですね。

 

後者は形や色合い、菓銘の響きによって食べてもらう人に季節を感じてもらう和菓子になります。

このようなお菓子は季節を表現してはいますが、材料自体は1年中似たようなものを使用していることが多いです。

味ではなく、形や色合いで季節を感じてもらうことを重視しているわけですね。

 

みなさんも行きつけの和菓子屋さんを作ってみませんか?

季節の移ろいと共にあっという間にお店に置く和菓子が変わりゆくさまは時間の流れの速さを感じます。

和菓子屋さんは身近に季節感を感じられる最高の場所なんです!

 

では、次から季節とその時期に出てくる和菓子を紹介していきましょう!

 

睦月の和菓子

花びら餅

花びら餅

花びら餅はお正月の和菓子として知られています。

薄いピンク色のおもちを薄くのばし、中に白味噌と甘く煮たごぼうを挟んだ和菓子になります。

 

その由来は平安時代までさかのぼります。

宮中で行われていた「お歯固めの儀」という風習に由来しているのですが、当時は白い丸餅に紅色の菱餅を置き、それに色々とのせて食べていたそうです。

それがだんだん簡略化されていき、宮中雑煮と呼ばれた白餅と紅餅を重ねたもので食べ物を包んで食べるようになっていったとか。

 

何故味噌餡なのかやごぼうが入っているのかといったことには諸説あるそうです。

現在の形の花びら餅が登場するのは明治に入ってからで、裏千家の初釜で出されたものが今もそのまま残っていると言われています。

 

如月の和菓子

うぐいす餅

うぐいす餅

餅をよくついて光沢が出るようになったら、蜜または砂糖を食塩に混ぜて、青豆粉を振りかけて漉餡を包み、餅がうぐいす型になるように端をつまんである和菓子です。

 

うぐいす餅の由来の一説には豊臣秀吉をもてなす茶会の話があります。

菊屋治兵衛が茶会にて豊臣秀吉に献上したのがこの「うぐいす餅」で、それをたいそう気に入った豊臣秀吉が命名したとされているものです。

 

こちらは早春の訪れを告げるおかしなので、立春を過ぎたらぜひとも一度食べておきたいものですね。

 

 

弥生の和菓子

引千切(ひちぎり)

引千切

京都のひな祭りには欠かせないとされる、餅と餡で作られる和菓子です。

昔の中国の行事で3月3日に邪気を払うために川で禊をしていた行事がもとになっています。

その日は母子草というものを食べて邪気を払うのですが、それが日本に入ってきた時に婦女子が母子草で餅を食べるというように変化したようです。

それがのちにヨモギになり、引千切というお菓子が誕生したのです!

 

餅は求肥でもこなしでもヨモギでも構いませんが、形を引きちぎったような形にしなければなりません。

その引きちぎった餅が杓子となって上に「きんとん」や「餡」をのせるのです。

 

京都では常識のようですが、全国的に知名度はあまり高くないこのお菓子。

女の子のいるご家庭では一度京風のひな祭りのお菓子として出してみてはいかがでしょう?

 

牡丹餅(ぼたもち)

牡丹餅

こちらはお彼岸の時期に必ずみられるもち米とうるち米(もしくはもち米のみ)を蒸したものを米粒が軽く残る程度に潰し、丸めたものを餡で包んだ和菓子です。

もちろん皆さんもご存知ですよね?

こちらは秋のお彼岸には「おはぎ」と名前を変えますが、3月に登場する時のよびかたは「ぼたもち」となります。

ただし、大きさやこしあん粒あんの違いで呼び分ける地域もあるので注意が必要です。

 

春にお供えする「ぼたもち」は豊穣の神様をお迎えするための意味合いもあります。

是非とも今年はそれを意識していただきましょう!

 

 

卯月の和菓子

さくら餅

これは道明寺と長命寺の2種類があり、毎回論争を呼びますね(笑)

しかし、どちらも3月下旬ごろから4月にかけてでまわる季節を象徴する和菓子です。

ちなみに道明寺と長命寺の違いは以下の通りです。

 

道明寺:関西風・上方風の桜餅

長命寺:関東風・江戸風の桜餅

 

ちなみに筆者の出身地である静岡はどちらも見かけますね。

お店によっておいてあるさくら餅が違うといった感じです。

 

関西風の道明寺の由来は「道明寺粉」を使っているからです。

「道明寺粉」とはもち米を一度蒸して、乾燥させて粗く砕いた物のことを指します。

これを蒸して桜色に色づけしたものに餡を包みます。

それに桜の葉を塩漬けにしたものを巻けば完成ですね!

 

一方関東風の長命寺の由来は様々で1つには絞れません。

作り方に関しては、小麦粉に水を混ぜて薄く焼いた皮に餡をくるむという方法です。

最後に塩漬けにした桜の葉を巻いて完成です!

 

同じ名前なのに全く違うさくら餅という和菓子。

今年は両方を食べ比べてみるのもいいかもしれませんよ?

さくら餅

3色団子

三色団子

こちらも3月の下旬から4月にかけてでまわる春を象徴する和菓子です。

3色団子の3色にはきちんと意味があることはご存知でしたか?

一般的に色はピンク、緑、白だと思います。

それぞれの意味は以下の通りです。

 

ピンク:さくら

白:白酒および残雪

緑:芽吹く若草やヨモギ

 

並び順も下から緑、白、ピンクと決められていることにも理由があります。

これは大地から陽光までの色を表しているそうです。

それぞれの色にも健康祈願や邪気払いの意味もあるので季節が訪れたら必ず食べたい一品ですね。

 

お花見の季節に3色団子をデザートにというのもとても風流で良いと思います。

お花見といえばお酒を飲んで騒いでという印象が強いですが、お茶を飲みながら和菓子を楽しむという上品なお花見も趣があっていいのでは?

 

皐月の和菓子

かしわ餅

柏餅

こちらも端午の節句には欠かせない和菓子として有名ですよね!

かしわ餅を見かけるようになり、季節の移ろいを感じる人も多いと思います。

柏の葉っぱは新芽が出ないと古い葉っぱが落ちないということから「後継ぎが出来るまで親が死なない」とされました。

そこから子孫繁栄、子宝といった縁起を担いで端午の節句に使われるようになりました。

 

そして、端午の節句といえば男の子のお祝いですよね。

その理由は柏の葉っぱの形にあります。

柏の葉っぱでおもちをくるんだときの形は何かに似ていると思いませんか?

 

そう、柏手を打つ時の手の形なんです!

柏手とは神様の前でうつ神聖なものです。

だからこそ、かしわ餅に男の子の武運を祈る意味を込めているのです。

 

この風習自体の始まりは1740~80年ごろの江戸時代とされています。

当時の将軍は9代将軍家重ですが、その頃は後継ぎというものがとても重要視された時代です。

男児に恵まれないことや子どもが長生きできないということも珍しいことではありませんでした。

だからこそ、子孫繁栄のためのこのような風習が出来上がっていったのは自然な流れなのでしょう。

今でこそ子どもの成長が当たり前になりましたが、その当たり前の幸せを噛みしめながらかしわ餅を食べるのもいいですね。

 

 

水無月の和菓子

若鮎(わかあゆ)

若鮎

6月初旬の鮎漁解禁に合わせて売り出される和菓子です。

最近は5月から売り出している和菓子屋さんも多いですよね。

楕円形に焼き上げたカステラ生地で求肥、若しくは小豆餡を包み、半月型に整形することで鮎の形にします。

最後に焼き印で目とヒレをいれれば立派に鮎に見えますね!

 

発祥は名古屋とも京都とも言われており、はっきりしておりません。

しかし、若鮎は夏の季語にも使われる名前ですので季節をあらわすのにぴったりの和菓子ですよね。

釣り好きな方は鮎釣りに若鮎をおやつとして持っていくというのも面白いかもしれないですね。

 

水無月

https://www.instagram.com/p/BdPXz7rHtwc/

月の名前の付いた和菓子ですが、知らないという方も多いのではないでしょうか。

京都では6月30日という1年のちょうど折り返しの日に半年の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する「夏越祓(なごしのはらえ)」というものが行われます。

それに用いられる和菓子がこの水無月なのです。

 

水無月というのは白の外郎の生地に小豆をのせ、三角形に包丁されたお菓子です。

その材料1つ1つに意味が込められており、小豆には魔を祓う意味合いがあります。

そして、三角形は夏の暑さを払う氷を表現しているのです。

 

最近は外郎が白以外のものを使っている水無月もあるようなので、是非とも色々食べてみたい和菓子です。

京都に住んでいなくとも1年の折り返しの厄払いというものはとても重要です。

是非とも厄払いと残り半年の健康祈願をこめて水無月を食べるという行事を今年からご家庭に取り入れてみませんか?

 

文月の和菓子

水ようかん

https://www.instagram.com/p/BeS2fPKFDed/

今では夏に食べる習慣のある水ようかんですが、元々は冬に食べるものだということはご存知でしたか?

しかし、それもすっかり変わって今では夏の季語としても使われるようになっています。

地域によっては季節を問わず販売しているところもありますが、一般的には夏の和菓子ということで文月の和菓子として紹介させていただきます。

 

水ようかんは白砂糖および黒砂糖他に加えて寒天を使用することで普通の羊羹よりも柔らかい仕上がりにしてある和菓子のことです。

こちらのおいしさを左右するのはやはり「水」!!

「水」が美味しいほど羊羹の味もおいしくなるのです。

京都では竹筒に入っているものが人気があるようですよ!

 

このように水ようかんには全国の地域ごとに個性がある和菓子です。

あなたの地域にある水ようかんはどんなものなのでしょうか?

調べてみるのも面白そうですね!

 

葉月の和菓子

落雁

落雁

ここでいう落雁は蓮の形に固めた落雁のことを指します。

よくお盆のお供え物として使われます。

お盆が8月という地域が多いので8月の和菓子として紹介させていただきました。

 

落雁とはお米などから作ったでんぷん質の粉に水飴や砂糖を混ぜて色を付けたものを整形して蓮や桜の形にしたものです。

お世辞にもあまりおいしいとは言えないお菓子かもしれませんが、日本の伝統的な干菓子(ひがし)を代表するものなんです!

元々は中国から伝わったものとされています。

 

落雁がお盆のお供え物とされる理由には日蓮の仏教の教えにある「飲食を盆にもって大勢の人たちを供養すれば多くの先祖が苦しみから救われる」というものがもとにされています。

昔は甘いものは贅沢な食べ物だったため、ご先祖様に美味しくて贅沢な食べ物である落雁をお供えするというようになったのです。

 

長月の和菓子

御萩(おはぎ)

こちらはお彼岸の時期にご先祖様にお供えする目的で作られる和菓子です。

弥生の和菓子の項目で説明したものとほぼ同じなので説明は省略します。

呼び分けに関しても諸説ありますが、秋に御萩と呼ばれるのは秋の7草にも含まれている萩の花が由来とされています。

同じ和菓子でも季節の花の名前で呼び分けられるこの和菓子はまさに日本の心を表しているといっても過言ではないのかもしれません。

 

月見団子

月見団子

中秋の名月(十五夜)に食べられる月見団子。

9月じゃないときもありますが、9月に中秋の名月が来ることが多いので長月の和菓子として紹介します。

 

お月見団子は「これからの収穫の祈り」を込めて、収穫物の米を使って作られた団子を用意したということが始まりとされています。

昔はお月様が信仰の対象であり、その月にお供えをすることで収穫祈願をしていたんですね。

お団子の形は地域によって異なるので、その違いを調べるというのも面白いかもしれません。

 

ちなみに、お供えする数にもいくつか説があり、1年の暦の数である12個(閏年のみ13個)というものや十五夜に合わせて15個という説もあります。

最近では十五夜の日にお供えをする家が少なくなりましたが、それでも日本古来から続く伝統行事です。

今年はお団子やススキをお月様にお供えしてみませんか?

 

 

神無月の和菓子

栗きんとん

お正月におせちに入っているものと同じ名前なのに、全く違う和菓子ですよね。

栗に砂糖を加えて練り上げたものです。

早いところだと9月頃から出回り始めます。

 

岐阜県の中津川が発祥の地とされており、その周辺ではお土産として売られている光景をよく見かけます。

和菓子の栗きんとんを食べたことがないという方は、ぜひ本場の栗きんとんを買いに岐阜に行ってみるのはいかがでしょうか?

 

 

霜月の和菓子

栗むし羊羹

栗むし羊羹

文字通り羊羹の中に栗が入っているのが特徴です。

お店によってかなり特色のある栗むし羊羹が散見されます。

全国に有名なお店があるので、栗好きの方は是非ともお取り寄せして食べ比べてみたいと思いませんか?

栗むし羊羹をとりあつかっているお店は老舗ばかり!

日持ちもあまりしないので、かなり贅沢な和菓子でしょう。

 

しかし、寒くなり始めた時期に濃い緑茶と一緒にいただく栗むし羊羹は最高に美味です。

紅葉を眺めながらゆったりといただくのがオススメです。

 

 

師走の和菓子

柚子餅

柚子餅

米粉などに柚子の風味を加えた和菓子のことです。

京菓子の老舗「鶴屋吉信」が発祥のお店です。

昭和天皇も愛したというその味はまさに日本の和菓子を体現したようなものでしょう。

 

冬至には柚子湯に入るという文化があるように、柚子は日本人になじみのある果物です。

冬至の日にこの柚子餅を食べるというのもいいかもしれませんね。

 

 

まとめ

季節によって色を変える和菓子ってとても風流ですよね。

お菓子で季節を表すというのは日本ならではの文化だと私は思います。

確かに洋菓子も美味しいですが、和菓子もまた違った良さがありますよね。

味だけでなく、見た目にもこだわる一種の芸術だと思います。

和菓子と日本の伝統文化のつながりも深く、和菓子を知る事が日本を知る事にも繋がります。

皆さんも自分の大好きな和菓子について詳しく調べてみてはいかがでしょうか。

今まで以上にその和菓子を好きになること間違いありません!

忙しい毎日を送っている人に和菓子とお茶を出してみませんか?

忙しい人ほど季節の移り変わりはあっという間であり、気づいていないものです。

それにさりげなく気づかせてあげる心遣いもオツなものですよ。